機能性食品として関心が高く、輸入量も増加しているブルーベリー果実を供試材料とし、異物として消費者のクレームが多い葉及び枝を選択した。「葉・枝は、果汁と同じ色に染まって目視では検知が難しい」という果実加工工場の状況を再現するために、果汁に30分間浸漬し、果汁と同じ色に染色した。また、CCDカメラの前面に透過波長可変の液晶チューナブルフィルタを装着した分光画像撮影システムを構築し、400-720nmの範囲で、5nmおきにブルーベリー果実及び葉・枝の分光画像を撮影した。同じ条件で標準白色板の分光画像も撮影した。吸光度の定義に従い、得られた分光画像より果実及び葉・枝の可視吸光スペクトルを算出し、吸光特性の異なる波長帯を探索した結果、680nm近傍において、果実の二次微分吸光度が、葉・枝のそれよりも大きく、両者の値が明確に異なることが明らかとなった。そこで、680nm前後の3波長においてブルーベリー果実およびその上に設置した葉・枝を撮影し、得られた分光画像に対して差分処理を行い、各画素の680nmにおける二次微分吸光度を算出した。また、果実群及び葉・枝群の二次微分吸光度の平均値を算出し、両者の中間値を閾値とした。さらに、閾値以上の画素を黒、閾値以下の画素を白とする二値化を適用し、異物の検知画像を作成した。その結果、異物が実際に置かれた位置と画像上で異物と判定された位置は良好に一致し、本手法により異物を効率的に検知可能であることが示唆された。
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