1. HBoVが気道から検出された患者のHBoVに対する液性免疫反応の解析 HBoVのVP1蛋白、VP2蛋白、NS1蛋白、NP-1蛋白を産生するバキュロウイルスをそれぞれ遺伝子組み換えにより作成し、Tn5細胞に感染させた。この感染細胞を抗原とした蛍光抗体間接法により、それぞれのウイルス蛋白に対するIgG抗体価を6組の患者ペア血清で測定した。抗VP1、抗VP2抗体価は、6例全例で回復期に抗体価の上昇がみられた。これに対して、回復期に有意な抗NS1、抗NP-1抗体価の上昇がみられたものは、それぞれ6例中2例のみであった。IgM抗体はIgG抗体よりも検出感度が低く、非特異反応が多くみられた。HBoVに対する液性免疫反応の解析には、VP1、 VP2蛋白を用いる方法がより適していると考えられた。 2. 高感度のHBoVゲノム検出方法の開発 HBoVのNS1遺伝子をターゲットとして、Rea1-time PCR法による高感度HBoVゲノム検出法を確立した。検出感度を検討したところ、1反応あたり10コピー程度のHBoVゲノムの検出が可能であった。 3. HBoVウイルス血症の検討 鼻咽頭からHBoVのゲノムが検出された患者の血清で、Real-time PCR法によるHBoVゲノム検出法を用いて血清中のHBoVコピー数を測定した。ペア血清6組に加えて、急性期のみの血清も3検体得られた。急性期の血清では、9例中7例で10^3/ml以上のウイルス血症がみられた。HBoVのゲノムのコピー数は10^3/mlから10^5/ml程度であった。急性期から2週間以上経過した回復期血清でも6例中3例で10^3/mlから10^4/ml程度のHBoVのゲノムが検出された。HBoVの感染時には、ウイルス血症が比較的長期間持続している可能性が示唆された。
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