研究概要 |
大脳皮質形成異常が発達過程にある脳へ与える影響について明らかにすることを目的とし、神経細胞の移動に重要な役割を持つCyclin-dependent kinase5(Cdk5)を欠損したマウスを作出した。Cdk5ノックアウトマウス(Cdk5-/-)は、胎生後期に死亡するために生後脳での検討がてきない。そこで、前脳特異的Cdk5ノックアウトマウス(Cdk5cKOマウス)を作出した。Cre-loxPシステムを用い、CdkS遺伝子をloxP配列で挟んだCdk5f/ox/floxマウスとCdk5+/-マウスおよびCaMKll-cre transgenicマウスを交配することにより,Cdk5cKOマウス(Cdk5 flox/-;CaMKII-cre)を作出した。Cdk5cKOマウスは、メンデルの法則に従った比率で出生した。正常マウスはtail suspensionにて四肢を伸展させるが、Cdk5cKOマウスではそのような正常反応はみられず、四肢を屈曲し振戦が出現するといった神経症状がみられた。Cdk5cKOマウスは、生後20日以降に早期死亡し、その前脳は正常マウスと比較して小さかった。次年度では、これらの病態の背景にあるメカニズムを明らかにするために、病理学的・分子生物学解析をすすめる。
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