数多くのヒトのゲノム、ウイルスのゲノムがエンコードするmicroRNAが報告されているが、microRNAの中でも特に、自己免疫疾患と関係を指摘されているEpstein-Barr(EB)ウイルスがコ一ドするmicroRNAに注目し、これらと全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患の発症との関係を解明することを目的として研究を開始した。 はじめに、健常人Bリンパ球由来EBウイルス感染リンパ芽球様細胞株を作成し、これらからtotal RNAを抽出し、cDNAを作成、Real-time PCR法にてのEBウイルスがエンコードする5個のmicroRNAの半定量法を確立し、測定を可能とした。 次に、SLE患者Bリンパ球由来EBウイルス感染リンパ芽球様細胞株を作成し、対照として健常人由来のものも作成した。これらから抽出したRNAにおいて、Real-time PCR法によりEBウイルスがコードするmicroRNAの発現量を、SLE患者と健常人にて比較した。健常人の細胞株由来のmicroRNAと比較して、5個のmicroRNAのうちBHRF 1-3、BRT 1の発現量がSLE患者の細胞株由来のもので低下する傾向が結果として得られた。 現在、症例数を増やして検討中である。また、SLE患者の代表的な臓器障害であるループス腎炎の腎組織を用いて、RNAを抽出し、これらmicroRNA定量目的のcDNAテンプレートを作成中である。
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