研究概要 |
本研究計画では、ラットの下顎骨・下肢骨の発生過程においてADAMTS(a disintegrin and metalloprotease with thrombospondin type 1 motifs)1,4,5,9と、IL-1α,βとTNF-αの発現量を定量的に比較検討し、in situハイブリダイゼーションを用いてADAMTS9とIL-1α,β、TNF-α及び受容体のmRNA発現の局在を調べ、申請者が既に報告したADAMTS1,4,5の所見と比較検討し、下顎骨・下肢骨の器官培養系を利用してIL-1α,βやTNF-αを添加したり、逆にsiRNAを用いてIL-1α,βやTNF-αの発現を抑制してADAMTS1,4,5,9の発現への影響を検討することを目的とする。 平成19年度では、胎生18日齢、胎生20日齢、生後1週齢、生後2週齢のラットの下顎骨・下肢骨の試料を固定・脱灰・パラフィン包埋して連続切片を作製した。そしてADAMTS9に加えてIL-1α,βとTNF-αのディゴキシゲニン標識RNAプローブを作製した。センスプローブを使用した従来の方法とは異なり、新たなコントロールを用いたin situハイブリダイゼーション法で現在これらの分子の局在を検討中である。従来の方法では、目的分子の反対配列の分子は存在しないことを前提にセンスプローブを作製しコントロールとして用いるが、反対配列の一部が目的分子の抑制のため存在し得るとの報告があり、新たなコントロールを用いたin situハイブリダイゼーション法の確立は、これからの分子生物学的実験を行う上で非常に有用であると考える。また予備実験では、これらの炎症性サイトカインが発生期にも発現し、発生・成長に関与するのではないかという可能性を示唆している。 今後はさらに器官培養系を用いたin vitroにおける検討が必要である。
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