研究概要 |
本実験では、免疫抑制作用を持つ単球由来細胞を実質臓器移植後の免疫抑制療法に応用することを目的とした。 まずラット実験系を用いて免疫抑制作用を持つ新しい単球由来細胞を培養した。リンパ球混合培養でこの細胞がリンパ球を貪食する効果があることを確認した。さらにこの細胞の小腸移植モデルへのin vivoでの応用の可能性を検討した。ラットアロ小腸移植を行い術後に5×10^6個の免疫抑制性単球由来細胞を経静脈的に全身投与し、レシピエントラットの生存期間を検言した。しかし抗原性の高い小腸移植グラフトに対する拒絶反応は細胞の単回投与のみでは制御困難であり、in vitroでの本細胞の免疫抑制作用のメカニズムの解明は必要と考えられた。 本細胞はリンパ球混合培養において、免疫寛容の維持に重要な調節性Tリンパ球を誘導することが判明している。そこでより効率よく調節性Tリンパ球を誘導することを目的とし、ドイツRegensburg大学と共同で、本細胞とリンパ球の混合培養系において、抗原刺激の有無が調節性Tリンパ球の誘導に与える影響をFACSを用いた解析で評価-した。OVA peptideを抗原刺激に利用し、この蛋白に対するT cell receptor geneを特異的にtransgenicした、transgenic mouse(DO11,1O, OT2)由来のリンパ球をresponderに用いて本細胞とともに混合培養を行い、調節性Tリンパ球の誘導の差異をFACSを用いて解析を試みた。 現在実験を継続中であり、今後本細胞による調節性Tリンパ球の誘導のメカニズムを解析するとともに、より効率よく調節性Tリンパ球を誘導する至適環境、条件を検討して、より強力な免疫抑制効果が得られるプロトコールを再度in vivo実験系に適応していく予定である。
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