研究概要 |
末梢神経欠損間隙の新しい治療法として我々が開発した末梢神経緩徐伸長法に関する以下の2つの実験を行った。 (研究1:末梢神経緩徐伸長法の適応と限界に関する研究)家兎用末梢神経伸長器を開発し、伸長距離および速度に関する検討を行った。対象は16週齢の雄日本白色家兎6匹、大腿中央部で坐骨神経20mm欠損を作成した.神経近位断端および遠位断端に伸長器を装着し、創を閉鎖した.翌日より神経伸長を1日1mmの伸長スピードで20日間伸長した。伸長終了翌日にを展開し,両断端の神経を摘出し縦断切片を作成、S100およびNeurofilament(以下NF)免疫染色を行った。(結果)新しく開発した家兎伸長器は螺子を回転させるだけで神経伸長が可能なものであり、毎日の神経伸長を無麻酔下で行うことができた。20日間伸長された両断端の神経は縫合可能距離に達していた。免疫染色の結果では神経全体が有効に伸長されたと考えられたものが6匹中5匹であった。この結果、伸長速度1mmで20日間の伸長を行うと20mmの欠損間隙を修復できることがわかり、次年度にこの条件で欠損間隙を修復した後の再生能を検討することとした。 (研究2:末梢神経緩徐伸長時の神経細胞体におけるapoptosisに関する研究)対象はWister rat雄12週齢、坐骨神経10mm欠損を作成し、ラット用神経伸長器で近位断端を1日1mmの速度で伸長した群およびコントロール群として伸長を行わなかった群について手術後14日目に還流固定を行った後、L4,L5の脊髄後角および後根神経節細胞を摘出した。凍結切片を作成しTUNEL法を用いてapoptosis細胞の検出を行った。(結果)TUNEL陽性細胞として検出される細胞は後神経節細胞の全スライスで十数個程度と少なく2群間での差を検討するに到らなかった。次年度は免疫染色を用いた神経細胞体数計測を行うこととした。
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