研究代表者は既に、カチオニックルテニウム錯体、Na塩、DBUの3元触媒系によるアルキルニトリルの官能基選択的活性化による、アルキルニトリルのアルデヒド、イミンへの直接付加反応に成功している。代表者は本研究助成において、本反応の更なる展開として、アルキルニトリルのケトンへの直接付加反応を検討した。ケトンへの直接付加反応は4置換炭素を有する3級アルコールを与える有用な方法論となるが、極めて限定された基質でしか成功例がなく、開発の余地を残していた。アルデヒドへの付加反応の最適条件を、トリフルオロメチルケトンとの反応に適用したところ、円滑に反応が進行しトリフルオロメチル基を持つ3級アルコールを高収率で与えた。本反応はアルキルニトリルの、トリフルオロメチルケトンへの直接付加反応の初めての例である。
|