神経因性疼痛の成立および維持の機序と抗炎症薬および脊髄グリア細胞についての関係を探るべく、本研究では脊髄神経結紮により作成した神経因性疼痛モデルラットを用い、行動学的評価およびラット脊髄標本に対するGFAP免疫染色により示される脊髄アストロサイトの活性化反応を評価することで、神経因性疼痛の成立および維持における脊髄炎症性サイトカイン類や脊髄グリア細胞機能に影響する因子の関与および変動を探り、病的疼痛状態に関与するであろう脊髄グリア細胞の新たな機能について引き続き研究を行っている。薬剤投与法として全身投与のほか髄腔内持続投与法の技術を用いている。ステロイド性抗炎症薬およびCOX-2選択的阻害薬ともに、投与開始時期、投与経路および投与方法によっては全身投与より格段に少ない用量で鎮痛効果を発揮でき副作用発現を抑制できる点においても有用であること、神経因性疼痛の成立および維持に対し脊髄グリア細胞の活性化が関与していることを明らかにしているが、抗炎症薬と脊髄グリア活性化とのより具体的な応答関係は未知であり、これらを解明するためミクログリアの活性化反応を評価できるOX-42と炎症性サイトカインIL-1βの関与に新たなに注目し、OX-42免疫染色法、脊髄IL-1βに対する免疫染色法およびELISA法を用い、神経因性疼痛の成立および維持におけるこれらの関与と変動を探っている。データの収集後、研究成果を麻酔学関連の医学雑誌に投稿予定である。
|