今年度は、floxed SEK1/MKK7および、Dmp1-CreERT2遺伝子改変マウスの作成を試みた。当初予定していたRecombineering法を用いたターゲティングベクターの作成には、ほぼ全ての塩基配列が判明しているC57BL/6マウスに由来するRPCI23/RPCI24 BACライブラリーの使用が不可欠である。しかしながら当研究室では、マウス作出用のES細胞に129 01a由来のE14K ES細胞を用いている。C57BL/6と12901aの一部遺伝子を用いて配列比較を行ったところ、数十bpに一塩基の割合で異なる塩基対が表れる事が判明した。このため、C57BL/6由来BACクローンを用いて作成したベクターでは、ES細胞における組み換え効率低下の影響を避けられないと判断した。そこで予定を変更し、12901aに由来するDNAを用いて、ターゲティングベクターの構築を試みる事にした。 E14KES細胞をフィーダー細胞非存在下にて純粋培養し、12901aゲノムDNAを抽出、PCR法を用いてSEK1/MKK4遺伝子断片を取得した。取得したSEK1/MKK4遺伝子断片に、loxP配列・ネオマイシン耐性遺伝子を組み込み、ネガティブ選択マーカーとしてDTA遺伝子を加え、floxed SEK1/MKK4遺伝子ターゲティングベクターを構築した。構築したベクターをE14K ES細胞にエレクトロポレーション法を用いて遺伝子導入し、G418存在下で1週間に渡って培養、G418耐性コロニーを得た。各々のコロニーからゲノムDNAを抽出し、PCR法・サザンブロッティング法にて相同組換え体ESクローンを3クローン同定した。各クローンをC57BL/6の胚盤胞ヘインジェクション法により導入、floxed SEK1/MKK4キメラマウスを得た。現在、生殖細胞系への移行を確認中である。
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