ヒト胚性幹細胞をペトリまたはウルトラロウアッタチメントディッシュを用いて7日から10日間サスペンションカルチヤーを行うか、またはハンギングドロップ法で7日から10日間培養し、胚葉体を作製した後、この胚業体をゼラチンコートディッシュ上でさらに培養することで先ずは中胚葉系マーカーであるGATA4やFlklの発現がmRNAレベルで確認され、培養細胞が中胚葉分化していることが確認された。これらを更に培養することでANF、ANP、BNP、MLC2V、MLC2a、cardiac Actinなどの分化した心筋マーカーの発現がmRNAレベルで確認された。また、免疫染色においてもcardiac Troponin IやBNPなどの心筋特異的マーカーやギヤップジヤンクションフーカーであるConnexin43の発現が確認された。これらの中から心筋内皮を有効に分離するため、中胚葉マーカーであるFlk1を用いて細胞回収することを試みた。未分化ヒト胚性幹細胞はOP-9ストローマー上で8日から10日間、分化培養することで、Flk1を発現する。この発現効率はUmeda K et al.がDevelopment 2004に記載しているサル胚性幹細胞のものとほぼ同程度である。このFlk1陽性ヒト胚性幹細胞を回収し、OP-9ストローマ細胞土でさらに分化培養すること心筋と同じ側板中胚栗原基である内皮や血球への分化を確認することができた。収縮コロニーとして特徴づけられる心筋コロニーは未だ確認されていないが、ANF、ANP、BNP、MLC2V、MLC2a、cardiac Actinなどの心筋マーカーの発現はmRNAレベルで確認された。今後、Flk1陰性細胞と比較検討し、Flk1陽性細胞からの心筋分化効率が優位に高ければ、マウスで確認されている心筋前駆細胞にFlk1が発現しているという裏付けがヒト胚性幹細胞でも確認できる。
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