研究課題
筋萎縮性側索硬化症のの原因遺伝子である変異SOD1を発現するトランスジェニックマウスの脊髄を用いて、各種の界面活性剤(Tris、Triton、SDS、Urea)に対する可溶性の差を利用したタンパクの分画を行った。すなわち、変異SODI遺伝子を過剰発現するトランスジェニックマウスから脊髄を摘出し、Trisバッファー内にて粉砕した。その後超遠心分離機を用いて遠心し、上清(可溶性分画)および沈殿(不溶性分画)とに分けた。さらに沈殿をTritonバッファー内で粉砕し、再び超遠心分離機を用いて上清(可溶性分画)および沈殿(不溶性分画)とに分けた。これをSDSおよびUreaバッファーを用いて順に繰り返し、計4種の界面活性剤によって処理した。その結果、変異SODI遺伝子を発現するトランスジェニックマウスでは不溶性分画に最後まで残る沈渣(ペレット)が得られたが、正常型(野生型)SOD1を発現するトランスジェニックマウスおよび非トランスジェニックマウスでは確認できるペレットは得られなかった。次に、この不溶性分画をPVDF膜上に一次元電気泳動によって展開し、抗SOD1抗体を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、変異SOD1遺伝子を発現するトランスジェニックマウスでのみ、ureaに初めて可溶性を示す分画にSOD1タンパクが存在し、,変異SOD1タンパクは実際にトランスジェニックマウスの脊髄で不溶化し蓄積していることが判明した。さらに、不溶性分画に存在するタンパクを網羅的に解析するために、二次元電気泳動装置を用いてurea可溶性分画を展開して検討したところ、複数のスポットが得られた。これらは変異SOD1トランスジェニックマウス脊髄に蓄積している新規タンパクである可能性が高く、現在マススペクトロメトリーにてタンパクの同定と修飾について検討を行っている。
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