今年度前半は、大腸癌特異的に高発現するmicroRNAをApplied Biosystems社のリアルタイムRCRシステムとTaqMan ^<【○!R】>MicroRNA Assaysを用いて計測することに重点を置いた。40症例の大腸癌患者の腫瘍部と非腫瘍部(正常大腸粘膜)のRNAを用いて、これまでに欧米で文献的にnorthern blottingやmicroRNAアレイで大腸癌特異的に高発現しているとされるmicroRNA(miR-19a、miR-20a、miR-21など)を計測した。これらのmicroRNAは報告どおり、正常大腸粘膜と比較して大腸癌特異的に高発現していることを確認した。また、miR-21の発現量は大腸癌の深達度、ステージ分類と関連していることも確認し、これらのmicroRNAが大腸癌の悪性度と関連し、大腸癌患者における新規バイオマーカーであることを見出した。また、大腸癌特異的に低発現しているとされるmicroRNA(miR-143、miR-145)を同様の手法、材料を用いて計測し、文献どおりの傾向があることを確認した。 今年度後半は、microRNAアレイの実施にむけての下準備を進めているところである。レーザーマイクロダイセクションを用いて、大腸癌細胞のみを回収し、正常大腸細胞と比較して大腸癌細胞特異的に高発現、または低発現している新しいmicroRNAを探したいと考えている。しかし、レーザーマイクロダイセクション後のサンプルからのRNAの抽出は簡便なカラム法を使うことができないため、microRNAアレイに使用可能な高品質のRNAを抽出することは現段階では困難を極めているところであるが、現在、改善しているところである。
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