研究課題
(目的・方法)C型肝硬変に対する生体肝移植後のグラフト肝線維化再発の程度を、ファイブロスキャン(FibroScanTM502)を用いて非侵襲的に測定し、それが移植肝グラフトの繊維化評価の方法として有効な手段となりうるかの検討を行った。対象は2001年7月より2006年8月までに当科にて生体肝移植を行ったC型肝硬変症例33症例とした。ファイブロスキャンで肝の弾性度(kPa)を測定するとともに肝生検を施行し、組織病理学的な繊維化の程度(F0、F1、F2、F3、F4)を診断した。また血生化学的検査として総ビリルビン、AST、ALT、ヒアルロン酸、4型コラーゲン値を測定した。(結果)患者平均年齢は58.2歳、男/女比は17/16、HCV-RNA量は平均407KIU/ML、C型肝炎ウイルスタイプI/II型は31/2、移植グラフトは左葉/右葉が22/11、平均グラフト容積・標準肝容積比は43.5%であった。病理組織学的繊維化F0(n=15)、F1(n=5)、F2(n=4)、F3(n=3)、F4(n=4)各々の平均フィブロスキャン値は9.5、11.5、14.4、33.0、34.7であった。フィブロスキャン値と総ビリルビン値、ヒアルロン酸値、4型コラーゲン値との相関係数は各々0.76、0.61、0.73であった。F1以下あるいはF2以上の肝繊維化とフィブロスキャン値の関係は、F1以下の症例の平均フィブロスキャン値が10.0、F2以上の平均フィブロスキャン値が26.9と、F2以上症例のフィブロスキャン値はF1以下症例に比し有意に高値であった。一方F2以上の症例の平均ヒアルロン酸値は934ng/ml、F1以下の症例の平均ヒアルロン酸値は102ng/mlと有意にF2以上の症例のヒアルロン酸値が高値、また4型コラーゲン値も一方F2以上の症例の平均4型コラーゲン値は489ng/ml、F1以下の症例の平均4型コラーゲン値は215ng/mlと有意にF2以上の症例の4型コラーゲン値が高値であった。(まとめ)生体肝移植後のC型肝炎再発においてファイブロスキャンは生体肝移植後グラフト肝の線維化評価法として非侵襲的かつ有効な方法に成りうると考えられた。
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