1.ABCC11持続的発現細胞株 通常の発現ベクターにABCC11を導入して持続的発現細胞株を作製したが、継代を重ねるうちに発現が消失してしまった。そのためTet-Offの系を用いたABCC11持続的発現細胞株を作製した。用いた細胞株はイヌ腎上皮細胞株MDCKとブタ腎上皮細胞株LLC-PK1である。しかしどちらの系でもウェスタンブロッティングにおいてMRP8の発現が認められなかった。 ABCC11持続的発現細胞株の樹立が困難なため計画していた乾型または湿型ABCC11持続的発現細胞株の薬剤耐性能の検討を行うことができなかった。 2.乾型、湿型腋窩アポクリン腺組織の免疫染色 乾型、湿型耳垢のヒトの腋窩アポクリン腺組織の手術標本が入手できたため、抗MRP8抗体を用いて免疫染色を行った。湿型アポクリン腺においてMRP8はapical membraneに明瞭に染色されたが、同時に核とapical membraneの問の細胞質において球状に染色される部分が観察された。乾型アポクリン腺においてはapical membraneが染色されたが、湿型と比べてやや境界不明瞭な感があった。また、細胞質には明らかに染色されている部分は認められなかった。 3.バキュロウィルスを用いた乾型と湿型MRP8の差の検討 乾型と湿型MRP8を発現するバキュロウィルスを作製し、昆虫細胞株Sf9に感染させてMRP8membrane vesicleを抽出した。湿型MRP8の抽出は可能であったが、乾型MRP8の抽出は困難であった。 今後乾型と湿型の差の検討は断念し、湿型MRP8の基質の検討を行っていこうと考えている。
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