研究概要 |
本研究は、神経筋難病の遺伝子治療法の開発を大目標として掲げている。特に、難病・筋ジストロフィーをターゲットに定め、病的骨格筋に治療用蛋白質"dystophin"を導入する(replacement therapy)方法を用いる。 本年度は主にウイルスベクターの作成・精製に重点を置き研究を進めた。遺伝子治療研究において、高い治療効果を得るためには、精製度の高いウイルスベクターをコンスタントに作成することが極めて重要となる。Prof.Jeff Chamberlain (University of Washington, USA), Prof.Dusty Miller (FHCRC, USA), Prof.Luigi Naldini (Italy)、理研・三好先生の好意を得、cDNA、パッケージング用細胞293D、レンチウイルス作成用プラスミドの分与を受けた。 1)マーカー遺伝子を搭載したLv-MSCV-eGFp, Lv-MSCV-nLacZ、および治療用遺伝子を搭載したLv-HSA-μ-dystropllin/eGFP, Lv-MSCV-μ-dystrophin/eGFR, Lv-MSCV-mini-dystrohin/eGFPを作成した。 2))モデル動物(mdxマウス)にウイルスベクターを直接投与(in vivo)し、骨格筋に治療用遺伝子(ジストロフィン遺伝子)を導入し遺伝子発現を観察し、病理学的、生理学的機能評価により有効性を検討した。3)mdx横隔膜はヒトDMDの病理学的変化を反映し、ヒトに応用する場合は最初のターゲットとなる。レンチウイルスベクターを用いmdxマウスの横隔膜に遺伝子導入を行った。4)mdxマウスfibroblastを回収し、μ-dystrophin/eGFPで治療を行い、骨格筋細胞に誘導した。
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