平成18年度は、本研究課題遂行のための準備期間として位置付けられ、研究自体の結果・結論はまだ出ていない。平成18年度においては、本研究課題のための理論的枠組みの構築を進め、またその各構成概念を規定するために、関連する文献のレビュー、質問紙の選定・完成を中心に研究を進めた。 具体的には、高齢者への看護、Well-being、うつ、スピリチュアリティなどをキーワードとして、当該研究課題に関連すると考えられる国内外の論文・書籍のレビューを行った。レビューによって得られた新たな研究結果から、本研究課題で使用する理論的枠組みの更なる構築・改良に取り組み、枠組みを完成させることができた。また、各構成概念の分析をすすめ、Well-beingの指標となる2つの質問紙を選定した。主要概念であるSelf-Transcendenceについても、国内外の研究協力者からの意見を得て、質問紙の翻訳や項目の査定・追加を行い、完成させることができた。本研究課題に適した統計的な分析方法については、国外の研究協力者に相談し、今回の研究に関して、現段階では、共分散構造分析よりも、重回帰分析を中心にデータ分析を始める方が良いとの結論に至った。 完成した質問紙が日本の高齢者にとって妥当であるか判断するために、まず健康な60歳以上のConvenientな対象(Convenient sample)にプレテストとして実施した。その結果、質問紙の語彙・書式等について意見を頂き更なる修正を行った。その後、協力を得られた5つの病院で対象者募集を行い、計110名の対象に聞き取り調査を実施した。研究倫理的な観点から、改訂版長谷川式知能スケールにおいて痴呆となった場合は対象から除外したため、最終的には105人のデータを収集することができた。
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