平成19年度は、平成18年度から引き続き対象者の聞き取り調査を実施し、データ収集を完了させ分析を行った。この研究の対象者は入院している高齢患者であったが、新規で作成した質問紙が多く調査所要時間がやや長いため、対象者として適切な高齢入院患者の確保が因難であり、データ収集期間が予定より少し長くかかった。また研究倫理的配慮から認知障害を疑う対象のデータは除外したため、聞き取り調査を行った110名のうち、65歳から94歳までの高齢入院患者(平均74歳)、男性62名、女性43名の計105名のデータを分析した。 この調査では、国内外の文献を基に日本人に合ったSelf-Transcendenceやスピリチュリティの概念を規定し尺度を作成した。また、Well-beingの指標として日本語版Geriatric Depression Scale(GDS)と翻訳版Satisfaction with Life Scale(SWLS)を使用した。どの質問紙も、この対象群においては、Cronbackアルファが0.78以上との結果を得られた。また、欧米での研究結果に見られるように、Self-Transencendenceの高い対象は、GDSでの結果が比較的低く、SWLSでの人生満足感が比較的高いという結果が得られた。JSPSについても、人生満足感との有意な相関関係が認められた。 今後は、Self-Transcendenceとスピリチュアリティ尺度の各項目の見直しと分析により項目の精選をすすめ、Well-beingとの更なる関係性についての分析をすすめる予定である。
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