研究課題
顎顔面領域における形態発生は、その形成過程が複雑な構造からなり、非症候性に発生する口唇・口蓋裂の原因遺伝子は未だ明らかではない。LIM homeobox遺伝子であるL3/Lhx8は、顎顔面領域の形成過程に重要な関連があると考えられ、われわれのこれまでの研究により、口唇・口蓋裂発生への関与が示唆されている。そこで本研究においては、ニワトリ胚を用い顎顔面領域にエレクトロポレーションの手法にてL3/Lhx8遺伝子の導入実験およびsiRNAによる阻害実験を行った。1.ニワトリ胚へのpMiwIIIベクターを用いたL3/Lhx8遺伝子導入実験動物は、発生が継続できるよう処理したHH.Stage10〜15のニワトリ胚を用いた。L3/Lhx8遺伝子組み込みpMiwIIIベクターは、エレクトロポレーションの手法を用い、遺伝子導入を行った。24時間後において、胚の顎顔面領域に標識としたGFPの発現が認められ、遺伝子導入を確認することができた。また、電圧、時間およびパルスの条件設定を変えても、48時間後の生存率は低いことが明らかとなった。2.ニワトリ胚へのsiRNA発現プラスミドをもちいた遺伝子阻害siRNA発現プラスミドは、pSilencer2.1-U6ベクターを用い、いくつかのパターンを構築した。HH.Stage10〜15の胚へのエレクトロポレーションでは、8時間後に胚の顎顔面領域にGFPの発現が認められ、遺伝子導入を確認することができた。24時間後および48時間後におけるパラフィン標本で行ったin situ hybridizationにおいて顎顔面領域にL3/Lhx8遺伝子の発現は見られなかった。実体顕微鏡における形態的観察において、顎顔面領域の明らかな形態異常は観察されなかった。
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International Journal of Developmental Neuroscience 26
ページ: 249-252
Cell Death and Differentiation 23
ページ: 1080-1085
http://www.naramed-u.ac.jp/~oral/05kenkyu.html