平成18年度は以下について実施した。当初の計画より概念分析に時間を要し、インタビューによるデータ分析を平成19年度にも継続する必要がある。 1)Good Deathの概念分析 「Good Death」の文献検索を行う過程で、「Good death」という概念には多様な意味が含まれていることがわかった。その為、まず、「Good Death」とは何かについて概念分析を行うことから始めた。[Good death]の類似概念としては、「dying well」「peaceful death」「appropriate death」「desired death」「dignified death」がある。構成要素としては、「コントロール感があること」「安楽であること」「死が近いと認識していること」「人間としての尊厳が最期まであること」「ケア提供者との信頼」「負担が少ないこと」「遺言を残すこと」「妥当な死」などがあげられる。 2)患者の闘病記やブログからの分析 許可を得たうえで、再発がん患者のインターネット上のブログと闘病記を対象に、「Good Death」にあてはまる記述を抽出し分析した。直接的に死を語ったブログはなかったが、「自分自身の生き方に納得する」「自分を価値づける」「自分の存在を覚えてもらう」など自己に関するカテゴリーが抽出された。闘病記からは、「余裕をみせる」「幸せだったと思って死ぬ」「自分らしくあること」「死ぬ瞬間まで精一杯生きる」などが抽出された。 3)インタビューによるデータ収集 2)で得られた分析結果を参考に、再発がん患者を対象にして、半構造的面接を実施しデータ収集を行っている。どんな死を迎えるかについては個々人が意識していない場合が多く、深い質的分析の必要性を感じながら面接調査を進めている。
|