日本の出生傾向は年々低下しており、少子化、核家族化など子どもを取り巻く環境も変化してきている。近年では、児童虐待が社会問題となり、産後早期から虐待のリスクを把握し、対象の理解を深め母親の心の問題を解決できるよう支援することが望ましい。育児期の母親の心理において否定的な感情に影響するものだけではなく、肯定的な感情に影響を与えるのがなにか知ることで育児生活をより肯定的に受け止められるよう支援できるのではないかと考える。そのため、本研究の目的は、子どもの愛着と育児生活における肯定感情との関連について明らかにすることを目的とした。 子どもの愛着については、Mullerの開発した尺度を中島が日本版に改定したMAI日本版(MAI-J)尺度、産後の肯定感情については、恵美須らの作成した「産褥育児生活肯定感尺度」を許可を得て使用した。使用する「産褥育児生活肯定感」は4つの要素から構成されているため、4つの要素(親としての自信、自己肯定感、生活適応、夫のサポート認識)に対して子どもの愛着がどのように関連しているのかを明らかにし、今後の育児支援の一助としたい。対象者は、1ヶ月の乳児を育児している母親である。北海道内の産婦人科施設で研究の主旨に同意の得られた5施設において平成18年12月1日から調査を開始している。500名に調査票を配布終了後、郵送にて得られたデータを5月中に入力し、6〜7月にデータの分析を実施、8〜9月に分析結果をまとめ、10〜11月に得られた結果について考察、12〜4月に論文の作成および報告書の作成をする予定である。
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