研究概要 |
ゲノム医学研究参加の説明と同意書取得を継続した結果、解析に使用可能なDNAサンプルは、関節リウマチ(RA)患者1284例から1504例に拡張することができた。多型と関連したmRNA発現量をreal-time quantitative PCRで定量した。抗CCP抗体に関連するPADI4遺伝子多型に関しては、関節リウマチ疾患感受性におけるメタ解析で関連を見いだすことができた(OR=1.14,P=0.000075)。多型を持つ患者のレントゲン写真、臨床データのスコアから、関節破壊と炎症反応の程度の相関を解析した。当施設の5000人近くが参加している大規模前向き観察研究を用いたHAQの重症度解析では、関連を見いだすことができなかった(P=0.48)。またX線学的関節破壊との関連も見いだすことができなかった(P=0.21)。抗CCP抗体に関連するPADI4遺伝子は重症化には関係せず、発症に関与していた。DNA取得同意と組織採取の同意を同時に得たのはRA40例で、一部の組織から軟骨細胞培養を行い、RNAを抽出した。変形性関節症患者10例、大腿骨頸部骨折患者10例からも同様にRNA抽出を行った。マイクロアレイを行い、RA患者の軟骨組織特異的に転写誘導される遺伝子群を包括的にリストアップした。階層型クラスター解析し、破壊を受ける軟骨組織の発現プロファイルを作成した。シトルリン化を受ける分子ではkeratin associated protein 4-8と、fibrinogen-like 2が発現上昇し、fibrinogen B beta polypeptideの発現低下していた。eIF4G、filaggrin、vimentin、fibrinogen、fibrinは変化しなかった。ある特定の分子のシトルリン化が抗CCP抗体産生に関与している可能性が示された。
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