マレーシア産ヒカゲノカズラ科Lycopodium carinatumの高極性アルカロイド画分より新規アルカロイドcarinatumin A-Cを単離、構造決定した。COSY、HOHAHA、HMQC、HMBC、NOESY等の各種NMR測定の解析の結果、carinatumin Aはhuperzine Aの10位水酸基体、carinatumin Bはhuperzine Bの11位水酸基体、carinatumin Cはhuperzine Kの立体異性体と帰属した。得られた新規化合物について、Ellman法を用いたアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を調べたところ、carinatumin AおよびBは、IC_<50>がそれぞれ、4.6μM、7.0μMであり、carinatumin Cは100μM以下で活性を示さなかった。一方、鹿児島産ヒカゲノカズラ科ナンカクラン(Lycopodium hamiltonii)より新規アルカロイドnankakurine Bを単離、構造決定した。各種2次元NMRの解析および、化学変換により、nankakurine Bはnankakurine AのN-メチル体であることを明らかにし、同時に、nankakurine Aの5位スピロ炭素の相対立体配置訂正も行った。Nankakurin Aは1μMでPC-12(ラット副腎髄質由来褐色細胞腫)の細胞分化を指標とした1321N1(ヒトアストロサイトーマ細胞)からの神経栄養因子分泌促進活性を示した。
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