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2007 年度 実績報告書

マイオスタチン阻害分子を高発現する骨格筋幹細胞による筋ジストロフィーの移植治療

研究課題

研究課題/領域番号 18890216
研究機関藤田保健衛生大学

研究代表者

上住 聡芳  藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60434594)

キーワード骨格筋 / 幹細胞 / 神経・筋疾患 / 再生医療 / 細胞移植治療 / 遺伝子治療 / 間葉系幹細胞
研究概要

マイオスタチン特異的阻害分子を高発現する骨格筋幹細胞を移植し、筋ジストロフィーの治療効果を検討するため、移植に用いる骨格筋幹細胞の探索を行った。骨格筋から単離した細胞を表面抗原を用いて網羅的に分画し、増殖能、筋分化能を評価した。その結果、筋衛星細胞分画とPDGFRα陽性分画のみが高い増殖能を示し、高率な筋分化を示す細胞は筋衛星細胞のみであった。この結果から、移植の細胞源としては筋衛星細胞を用いることに決定した。マイオスタチン阻害分子とVenus(YFPのvariant)をIRESを介して同時発現するレンチウィルスベクターを用いて、筋衛星細胞に対し高効率な遺伝子導入を実現出来た。また、ウィルス感染による細胞毒性は観察されなかった。さらに、導入遺伝子のタンパクレベルでの高い発現を確認した。そこで、このマイオスタチン阻害分子導入筋衛星細胞のmdxマウスへの移植を行った。移植筋においてVenusの発現とジストロフィンの発現回復を認め、移植した細胞による骨格筋の再生が確認された。重要な事に、マイオスタチン阻害分子導入筋衛星細胞は対照の筋衛星細胞より高い移植効率をもたらした。さらに、移植後3ヶ月という比較的長期にわたる導入遺伝子の発現ならびにジストロフィンの発現も確認出来た。しかし、筋力の回復や遠隔筋(横隔膜)の病態改善には至らなかった。
本研究から、マイオスタチン阻害分子の導入は骨格筋幹細胞の移植効率向上に有効である事が示唆された。また、本研究の過程で見出されたPDGFRα陽性細胞は、高い増殖能を示し、筋分化能は低いが、脂肪細胞、骨細胞へ高率に分化する事が明らかになり、骨格筋内在性間葉系幹細胞である事が示唆された。PDGFRα陽性細胞の骨格筋脂肪化や骨化、線維化といった病態への関与が考えられ、PDGFRα陽性細胞を標的とした筋疾患に対する新たな治療戦略の創出につながると期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Transgenic expression of a myostatin inhibitor derived from follistatin increases skeletal muscle mass and ameliorates dystrophic pathology inmdx mice.2008

    • 著者名/発表者名
      Nakatani, M
    • 雑誌名

      Faseb Journal 22

      ページ: 477-487

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Signal transduction pathway through activin receptors as a therapeutictarget of musculoskeletal diseases and cancer.2008

    • 著者名/発表者名
      Tsuchida, K
    • 雑誌名

      Endocrine Journal 55

      ページ: 11-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autologous transplantation of SM/C-2.6(+)satellite cells transduced with micro-dystrophin CS1 cDNA by lentiviral vector into to mdx mice.2007

    • 著者名/発表者名
      Ikemoto, M
    • 雑誌名

      Molecular Therapy 15

      ページ: 2178-2185

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular signature of quiescent satellite cells in adult skeletal muscle.2007

    • 著者名/発表者名
      Fukada, S
    • 雑誌名

      Stem Cells 25

      ページ: 2448-2459

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨格筋脂肪変性を担う血管近傍に存在する間葉系細胞の同定2007

    • 著者名/発表者名
      上住 聡芳
    • 学会等名
      第30回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2007-12-12
  • [学会発表] 骨格筋脂肪変性を担う血管近傍に存在する間葉系細胞の同定2007

    • 著者名/発表者名
      上住 聡芳
    • 学会等名
      第12回アディポサイエンス研究会シンポジウム
    • 発表場所
      千里阪急ホテル
    • 年月日
      2007-08-18

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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