研究課題/領域番号 |
18F17794
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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研究分担者 |
HU XIN 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 臓器保存 / 臓器移植 / 超低温保存 |
研究実績の概要 |
現在、ヒトの臨床移植治療は、年々増加する移植待機患者に対して提供される臓器不足の問題が深刻化している。その大きな理由の一つに臓器の保存時間の短さが挙げられる。臓器の供給体制を改善させるため、長時間の臓器保存技術の確立が切望されている。本研究はラット・マウスの心臓あるいは肝臓を用いて、全く新しい保存法である臓器の凍結保存法を開発し、その機序を解明する事を目的とする。 本年度は、当研究室で豊富な経験と実績あるマウス心臓モデルを用いて、凍結保存液および凍結時間に関する検討を主として行った。まず、既存の臓器保存液であるUniversity of Wisconsin(UW)液を基礎として、凍結保存に有効に働く事が報告されている各種凍結保護物質を加えた保存液の作成を試みた。次に、雄性7ー10週齢のC3H/HeSlc (C3H)マウスからドナー心臓を摘出し、凍結保存液にて灌流後、急速凍結技術を用いて、急速凍結した後に保存を行った。様々な時間(24ー144時間)保存の後、C3Hマウスに異所性同種同系移植を行った。また、凍結保存に関する検討と共に、-8℃にて凍結しない(超低温、supercooling)条件下で、同じように様々な時間(24ー144時間)保存後の心臓を移植する試みを行った。結果として、残念ながら、凍結させた際には移植心臓の安定した生存は得られなかった。しかし、Supercooling(-8℃保存)条件下では、96時間(4日間)の保存後、安定した移植心臓の生存(拍動)が確認できた。また、最長144時間(6日間)保存後においても、移植心臓の拍動が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の予定として、急速凍結技術を用いたマウスの心臓急速凍結した後の保存では、残念ながら、移植心臓の安定した生存は確認されなかった。その検討で、大量の時間を要した。当初の方針を修正して、凍結保存に関する検討と共に、-8℃にて凍結しない(超低温、supercooling)条件下で、同じように様々な時間(24ー144時間)保存の後、心臓を移植する試みを行ったところ、良い結果が得られたので、今後の研究内容は「凍結保存」から「超低温保存」に変更して、引き続き、実験を進めるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
超低温保存および復温した心臓あるいは肝臓、並びに移植された臓器を、組織学的、生化学的および分子生物学的手法を用いて、その機序を解明する。移植された臓器の状態を把握し、臓器の超低温保存に適した条件、保存期間、保存液の組成を明らかにする。
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