研究課題/領域番号 |
18F18012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井手口 拓郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 講師 (30735999)
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研究分担者 |
SINJAB FARIS 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | コヒーレントラマン顕微鏡 |
研究実績の概要 |
分子振動を計測することで試料の化学的な性質を分析するラマン分光法は、物理、化学、生物学等の基礎研究や、製薬、半導体などの産業界において広く使われている。しかしながら、自発ラマン散乱は散乱効率が極めて低いため、計測に長時間を要するという難点がある。一方、非線形光学効果であるコヒーレントラマン散乱を利用することにより、ラマン分光の計測速度を数桁向上させることが可能であり、特に、数万回の計測を必要とするレーザースキャン顕微鏡との相性が良い。本研究では、10 fsのパルス幅を持つ超短パルス光源と高速スキャンマイケルソン干渉計を用いた高速広帯域コヒーレントラマン分光顕微鏡を製作し、生命科学やマテリアル科学の新し計測ツールを開発する。 本年度は、10 fsのパルス幅を持つ超短パルスモードロックレーザーと高速スキャンマイケルソン干渉計を組み合わせたフーリエ変換コヒーレントラマン散乱分光顕微鏡を製作した。はじめに、分光システムを構築し、分子指紋領域をカバーする1000 cm-1を超える広帯域ラマンスペクトルを、数cm-1の分解能で、10 kHz以上のレートで計測可能であることを有機溶媒を計測対象として実証した。さらに、分光システムとレーザースキャン型顕微鏡システムを組み合わせを行った。対物レンズ等の光学素子の分散によるパルス時間波形の歪みの補正等の顕微鏡の最適化を行い、有機溶媒やポリマービーズ等の標準試料のラマン分光顕微計測に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コヒーレントラマン顕微鏡を製作を行い、有機溶媒やポリマービーズなどのテスト試料の高速分光イメージングに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
製作した顕微鏡の感度を向上させる。特に、超短パルス光の分散補償を精緻に行い、試料面でトランスフォームリミットに近い状態のパルス光を生成する。また、ヘテロダイン検出機構を導入し、信号対雑音比を向上させる。また、製作した顕微鏡による生命科学やマテリアル科学における基礎研究を開始する。
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