研究課題/領域番号 |
18F18041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 准教授 (90452276)
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研究分担者 |
HAASE FREDERIK 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-07-25 – 2020-03-31
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キーワード | 金属錯体 / 多孔性材料 / 可逆的共有結合 / ゲル / ソフトマテリアル |
研究実績の概要 |
金属錯体を基盤とした多孔性材料に関する研究において、従来の多孔性配位高分子 (PCP/MOF)のように3次元に秩序だった多孔体ではなく、より構造的自由度をもたせたアモルファス多孔性材料が注目を集めている。本研究では、金属錯体多面体(MOP)と 呼ばれる細孔の最小単位と考えられる分子を重合することでソフトマテリアル化し、構造秩序性の制御、新しい機能発現を目的に研究を行う。本研究計画では、特に可逆的な共有結合で連結した新しい有機/無機ハイブリッド材料を構築する。その特徴は以下の2点に集約される:(1)予めデザインした細孔(MOP)と集合構造の秩序性を独立して制御が可能、(2)マクロ構造の自由度が高く、結晶、ゲル、膜など様々な形態を作り分けることが可能。最終的には、分子レベルで厳密に制御された新しい多孔性ソフトマテリアルの創 成へとつながることが期待される。 本年度は可逆的な動的共有結合により連結可能な、新規の金属錯体多面体(MOP)の合成及び同定と重合反応検討を行った。まず、MOPの周辺にカルボニル基を導入することを試みた。5位にカルボニル基を有するイソフタル酸誘導体を合成し、酢酸ロジウムと反応させることでMOPの合成を試みた。様々な溶媒で検討を行ったが、単結晶を得ることはできなかった。そのため、動的光散乱、NMR、紫外可視吸光測定、といった分光法を駆使してMOPの同定を行った結果、狙い通りの立方八面体構造を有するMOP([Rh2L2]12: L = イソフタル 酸誘導体)が合成されていることが示唆された。そこで、ビスイミダゾールを用いて超分子重合を行ったところゲルが得られた。現在は、ゲル化後に可逆的動的共有結合を導入する手法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、動的共有結合化学を行うことができるカルボニル基をMOPの周辺部位に導入することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、カルボニル基を導入したMOPの単結晶構造解析である。カルボニル基がバルキーであるため分子同士のパッキングがあわず単結晶化しないと考えられる。そこで、ロジウム二核錯体の軸配位子に様々な分子を配位させ、分子形状を変化させることでパッキング構造を変え、単結晶化を目指す。
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