研究課題/領域番号 |
18F18051
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田部 勢津久 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (20222119)
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研究分担者 |
XU JIAN 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | 長残光 / 蛍光体 / 近赤外 / エネルギー移動 / 生体イメージング / 遷移金属 / 希土類 / 電子遷移 |
研究実績の概要 |
2018年度はLaAlO3組成のペロブスカイト結晶中のCr3+またはCe3+イオンからの励起3dや5dエネルギー準位からの持続的エネルギー移動を利用することにより,Ho3+イオン(波長1.2 um)とEr3+イオン(1.5 um)の4f-4f電子遷移に基づく近赤外長残光を実現することに成功した. これらの発光波長は,生体窓における第2窓(1.0-1.35 μm)と第3窓(1.5-1.8 μm)に相当しているため,1.0μmを超える長波長による,高分解能で深部観察可能なインヴィヴォイメージングの可能性を切り開く成果である. 長残光蛍光体に関する我々(代表者田部と特別研究員Xuの)2名連名による招待総説論文が Journal of Luminescence, 205 (2019) 581-620.(Elsevier出版)に出版された. とりわけ,最近我々が開発した,波長1000 nmを超える長波長域における長残光蛍光を初めて紹介した.その成果とはガーネット結晶中における Nd3+ イオン(1.06 μm)とEr3+ イオン(1.53 μm)の長残光蛍光であり,可視域で残光性能を示すCe3+イオンからの持続的エネルギー移動を巧みに利用することにより,発光中心として原子価3価が極めて安定で,光イオン化が起こらない,Nd3+,Er3+両イオンにおいて,近赤外波長域で長残光を実現したという成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
The relationship between host phonon energy and electron trapping centers was found to play important roles of the Ho3+ PersL in LaAlO3/LaGaO3 perovskites, which gives a new insight into the design concept of persistent phosphors working in the NIR-II/III regions, especially targeting for the “desirable” electromagnetic transition (e.g., Ho3+: 5I6→5I8 at 1.2 μm) instead of the “undesirable” one (e.g., Ho3+: 5I7→5I8 at 2.0 μm). These results demonstrated in the flexible ABX3 perovskites could give a vivid example to choose suitable material hosts, electron trapping centers and energy donor-acceptor combinations toward long PersL in the NIR region (>1000 nm).
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の成果に基づき,2019年度は二つのテーマを推進する予定である. 近赤外長残光を示す蛍光体組成で,ガーネット,ペロブスカイトナノ結晶を合成し,粒径分布やゼータ電位を含む,ナノ粒子の微細構造を調査,また試料の蛍光,励起,反射率スペクトル,蛍光寿命の温度依存性,残光減衰曲線を測定する. ナノ蛍光プローブを用いて,共同研究チームと共同でマウスを用いた第2,第3生体窓波長でのインヴィヴォイメ-ジング実験を行い,細胞耐性,毒性と併せ,生体プローブとしての実用性を評価する.
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