研究課題
メキシコの乾燥地域において多様化の見られる、ソテツ類を材料として、その多様化機構として生態的種分化(ecological speciation)の重要性を明らかにすることを目的として研究を進めた。具体的には、メキシコ各地において、隔離分布を示す種のセットを選び、それらの間で、遺伝的な距離、生態学的な距離(形質の違い)を評価する。そのなかで、一つの種群 Dioon sonorense について、詳細に解析し、「Species definition of Dioon sonorense (Zamiaceae, Cycadales), and description of D. vovidesii, a new cycad species from Northwestern Mexico」として、Phytotaxa に論文を発表し、同種群にぞくする、1地域集団を D. vovidesii として、新種記載している。ここでは、メキシコ北部、ソノラ砂漠に分布する、D. sonorense について、葉やその表面構造、さらに分子情報に集団解析により、D. sonorenseの実態を捉え、さらに、D. vovidesii を新種として特定するに至った。さらに、メキシコ南部で隔離分布を示す、D. merolae について、解析を進めている。本種については、生態的なニッチ保守性が種分化を促す可能性について、解析を進めた。
2: おおむね順調に進展している
研究の成果を、いくつかの学術論文として発表しており、順調な進展と言える。ただし、当初予定していた、メキシコ現地調査が、申請者の都合により実施することができなかったため、さらなる展開として考えていた、別の種分化イベントに関するデータ収集ができなかったことは、残念である。それでも、これまでに収集した、メキシコ各地の標本、遺伝情報をもちいて、さらなる論文の発表が可能であり、これを進める計画である。
今後も、日本において、研究活動を続ける予定であり、さらなる資金の獲得も含めて、本テーマを追求していく予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Phytotaxa
巻: 369 ページ: 107-114
10.11646/phytotaxa.369.2.4
Journal for Nature Conservation
巻: 46 ページ: 6~27
10.1016/j.jnc.2018.08.012
Cycads: Official Newsletter of IUCN SSC Cycad Specialist Group
巻: 3 ページ: 9-10