研究実績の概要 |
ミャンマーで主に栽培されているGreen gram, Black gram, Chickpea と Groundnutの4種のマメ科植物(植物防疫所の許可を得て輸入)に,ミャンマーの各マメ科植物の主な栽培地から輸入した土壌(禁輸入品として管理)の懸濁液を接種して栽培し,着生した根粒から145菌株の根粒菌を分離した.分離菌を再度純化して保有している.145菌株を純粋培養し,DNA(deoxyribonucleic acid)を抽出して,そのITS(16S-23S rDNA internal transcribed spacer)領域をPCR(Polymerase chain reaction)法で増幅し,シーケンスを行い種の同定を行った.その結果,多くのBradyrhizobium属の根粒菌以外に,Methylobacterium属,Mesorhizobium属,Burkholderia属,Ralstonia属,Paraburkholderia属の微生物を分離した.この中には現在までに分離例が稀有なものが多く含まれ,学術的価値が高い事が明らかである.ただし,PCR産物のシーケンス結果が満足できるものでなく,DDBJ(DNA Data Bank of Japan)のデータベースにあげるに至っていない.従って,再度のDNAの抽出とPCRが必要である.また,分離した根粒菌の中には病原性を持つ菌と近縁であるため,接種試験を行って病原性の有無を確かめる必要が残っている. Khin Myat Soe氏はミャンマーの土着菌を用いた生物肥料の開発を目指しているため全ての菌株を宿主マメ科植物に対して接種し,根粒形成と窒素固定の能力の評価を行い,それぞれの宿主に対し窒素固定の高い数種の菌株を選抜した.さらに,これらの菌株の中から特に共生窒素固定能力の高い菌株を選抜する必要がある.
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