研究課題/領域番号 |
18F18080
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
辻本 壽 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (50183075)
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研究分担者 |
ABDELRAHMAN MOSTAFA 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | パンコムギ / ハマニンニク / オオハマニンニク / 高温耐性 / トランスクリプトミック解析 / メタボロミック解析 / 染色体添加系統 / ゲノムワイドマーカー |
研究実績の概要 |
これまで、申請者は野生植物、オオハマニンニク(Leymus racemosus)や他の近縁野生植物の染色体(部分)を導入したパンコムギ系統が高温耐性を示すことを人工気象機やスーダンの現地圃場での調査で見出していた。しかし、その高温耐性メカニズムについては不明である。そこで、本研究では、外国人特別研究員と共に、この高温耐性機構を分子生物学的に解明するために、これらの添加系統と通常系統を制御環境下で栽培し、高温ストレスに対する応答を二次代謝物の統合的解析(メタボロミック解析)および発現遺伝子の統合的解析(トランスクリプトミック解析)により、調査することを目的に行っている。 これまでに、高温耐性を示すオオハマニンニク染色体添加系統を人工気象機の高温ストレス下で栽培して、耐性の程度を再調査した。しかし、この染色体添加系統は茎葉では高温耐性を示すものの、高温で高度な不稔を示すことが分かった。コムギは種子を利用する作物であるので、不稔性が生じては、この系統を育種利用することができない。当初、開花後登熟期の未熟種子からのサンプリングを予定していたが、これができなくなったため、タルホコムギの染色体部分を保有する系統の中で、高温下でも稔性の高い系統に切り替えて現在、研究を実施している。 一方で、ハマニンニク属植物から高温下でも稔性のある系統を探索するため、まずは、コムギ用に開発されたゲノムワイドマーカーから、ハマニンニクに転用できるマーカーを選抜し、これを用いて、ハマニンニク(L. mollis)とコムギの雑種後代から、ハマニンニク染色体添加系統を効率的に選抜した。今後、これらの系統についても研究に加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究を予定していた高温耐性系統が、茎葉では高温耐性を示すものの、高温ストレス下では、高度に不稔になることが分かった。コムギにおいては種子生産が目的であるため、この系統は高温耐性育種には使えないことが分かった。そこで、別の高温耐性系統に乗り換えて研究を実施している。さらに、ゲノムワイドマーカーを活用して新たな系統を開発した。このように、研究はストレートには進まなかったが、対応はできており、今後、予定通りの解析ができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、高温耐性系統のメタボロームおよびトランスクリプトームの解析を行う。
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