研究課題/領域番号 |
18F18081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 准教授 (10204885)
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研究分担者 |
ISLAM MD. Aminul 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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キーワード | 家畜 / イムノバイオティクス / エピジェネティック / 抗菌剤代替 |
研究実績の概要 |
近年、乳酸菌やビフィズス菌に代表されるプロバイオティクスの中でも、特に腸管などの粘膜免疫組織において免疫調節機能性を発揮するイムノバイオティクスが注目され、家畜健全育成の飛躍的向上を目指した抗菌剤代替としての発展的利用性が期待されている。我々はこれまでに、抗菌剤代替としてのイムノバイオティクスの家畜対応型選抜・評価系の確立を手掛けてきた。また、外国人特別研究員は、家畜の生体防御免疫機能性におけるジェネティックおよびエピジェネティックな解析を進めてきた。そこで本研究では、それらの研究領域を発展的に融合させ、世界共通課題である薬剤のみに頼らない家畜健全育成技術の飛躍的向上から安全な畜産食品生産に貢献することを目標に、とりわけイムノバイオティクスによる粘膜免疫機構のエピジェネティック修飾に着目した新たな研究基盤を構築し、家畜対応型イムノバイオティクスの発展的利用性について追究する。本年度は、以下の項目について実施し幾つかの研究成果が得られた。具体的には、ブタ由来乳酸桿菌を分離・同定し、イムノバイオティクス評価候補菌株の選抜を進めた。 1.離乳1~2ヶ月齢のブタ腸管(空腸、回腸およびそれらのパイエル板)よりプレート寒天培地法によりグラム陽性微生物を単離した。さらに乳酸桿菌に着目し、16s rRNA塩基配列解析により菌種同定を行った。その結果、乳酸桿菌100株程度の単離同定を進めることができた。 2.1で単離した菌株を対象として、イムノバイオティクスの選抜にあたり、まずブタ腸管ムチンならびに上皮細胞における接着性の機能評価を行った。その結果、イムノバイオティクス評価の候補菌株を10菌株程度選抜することができた。次年度以降で、さらにエピジェネティック修飾に着目したイムノバイオティクスとしての免疫調節機構解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、世界共通課題である薬剤のみに頼らない家畜健全育成技術の飛躍的向上から安全な畜産食品生産に貢献することを目指し、イムノバイオティクスによる粘膜免疫機構のエピジェネティック修飾に着目した新たな研究基盤を構築し、家畜対応型イムノバイオティクスの発展的利用性について追究することである。そのためには、家畜種に対応した詳細な検討が必要となる。本研究では、家畜の中でも特に抗菌剤使用量の高いブタに着目し、まず初めにブタ腸管由来のイムノバイオティクス候補菌株の単離・同定を進めた。結果として100菌株程の乳酸桿菌が得られ、その中からイムノバオティクス候補菌株を10株程絞り込むことができ、以降の研究を展開する上で順調に推進することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で得られたイムノバイオティクス候補菌株に加え、さらに候補を追加しながら選抜を拡大し、ブタ腸管上皮細胞におけるイムノバイオティクスのエピジェネティック修飾に着目した新たな研究を展開する。具体的には、イムノバイオティクス候補菌株とエピジェネティック修飾の標的がそれぞれ多検体であることから、網羅的な解析が必要となる。本研究では、候補菌株による腸管上皮細胞の刺激におけるエピジェネティック変化について、RNAシークエンシング解析を行うことで達成可能と考えている。さらにイムノバイオティクス候補が絞られた段階で、種々のイムノバイオティクス評価系による検討を進め、有用なイムノバイオティクスが得られると共に、家畜健全育成における新たな研究基盤とその応用への発展が大いに期待できる。
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