研究課題/領域番号 |
18F18102
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中川 崇 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40610374)
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研究分担者 |
NAWAZ ALLAH 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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キーワード | マクロファージ / 筋再生 |
研究実績の概要 |
骨格筋損傷後の再生においては、骨格筋幹細胞(MSC)の適切な増殖が必須の過程であり、MSCの維持・制御には、それらを取り 巻く微小環境(ニッシェ)が重要な役割を果たしている。しかしながら、ニッシェがどの様にMSCを制御しているのか、その詳 細な機構は不明のままである。骨格筋損傷時、局所では炎症が惹起されマクロファージなどの炎症細胞が増殖・浸潤してくる。 一方で、これら免疫細胞は細胞内代謝の大規模な改変(代謝リプログラミング)を介して、機能を変化させていくことが知られ ている。本研究課題では、骨格筋損傷後の再生過程におけるマクロファージの役割に着目し、骨格筋損傷時の炎症シグナルから 惹起されるマクロファージ内の代謝リプログラミングがどのように骨格筋幹細胞の機能を制御するのか、「炎症」と「代謝」と 新たな側面から明らかにしていく。そして、MSCを用いた将来的な骨格筋再生治療のための基盤構築を目指す。本年度は組織在住マクロファージ(M2マクロファージ)を任意のタイミングで除去できるCD206-Diphteria toxin receptor Transgenic mice (CD206DTR-Tg)マウスを用いて、M2マクロファージがMSCの維持・制御に関与しているか明らかにした。カルディオトキシン(CTX)を筋注することにより誘導される筋挫滅モデルを用いて、CD206DTR-Tgマウスに炎症を誘導したところ、野生型マウスと比較して筋組織の炎症が軽減し、筋再生の促進が見られた。この結果はM2マクロファージが筋組織の炎症に関与し、再生の妨げとなっていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋損傷モデルの構築は終了し、M2マクロファージの役割についても確認できた。今後メカニズムの詳細を検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、CTXモデルだけでなく、機械的筋挫滅モデルなども用いて、筋損傷後の筋再生の過程を検討する。また、qPCRを使って炎症性サイトカインなどの遺伝子変化を検討するとともに、筋組織内の代謝が損傷前後で変化するか、LC/MSを使ったメタボロミクスで解析する。また、M2マクロファージ除去による炎症細胞の収束については組織切片での免疫染色と単離した細胞のフローサイトメトリーでも解析していく。
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