研究課題/領域番号 |
18F18122
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小口 千明 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20312803)
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研究分担者 |
GERMINARIO LUIGI 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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キーワード | 風化 / 凝灰岩 |
研究実績の概要 |
2018年8月下旬に来日したため、2018年度下半期が実質の研究期間である。まず、吉見百穴、田谷洞窟、大谷凝灰岩に関する既存文献を収集し、研究動向を詳細に確認した。また、吉見百穴と田谷洞窟を訪問し、それぞれの地質、地形などの地球科学的な基礎情報を確認するとともに、人口坑道の歴史について学んだ。訪問の際には、洞窟を構成する地盤試料と洞窟壁面の変質部分を採取し、環境モニタリングサイトを設置した。ハイグロクロンによる各サイトの坑内温度と湿度のデータ収集は、設置後すぐに開始した。 持ち帰った試料は、鉱物分析や化学分析に供するために、試料調整を行った。埼玉大学科学分析支援センターで所有するXRD(X線粉末回折)、XRF(蛍光X線分析)、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分析のほか、SEM-EDS(分析電子顕微鏡)について、それぞれについて数日ずつの講習を受け、使用ライセンスを取得した。岩石試料および塩類析出物等の鉱物種・化学組成の関する基本的なデータについては、ほぼ分析を終えた。また、受け入れ教員の実験室で所有するポロシメータを用いて間隙径分布を測定し、剥片作成も行った。2018年度の研究活動により、洞窟構成材料としての地盤の岩石物性の把握は終了し、主に環境変動を中心とした継続観測の段階に移行しつつある段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査箇所3か所のうち、2か所については環境モニタリングの軌道に乗った段階である。もう1か所についても近日中に設置できる目途がたっている。試料の分析については、最も時間がかかる装置講習についてはすべて終了している。試料の分析も半ば以上は終了しており、十分なデータは得られている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、3~4か月に1回の頻度でデータ回収に赴き、温湿度データを収集する。また、基本的な物性データに加え、より精密な条件(たとえば、SEM-EDSによる元素濃度マッピング)での分析も行う予定である。また、定期的な雨水・地下水も採取して分析し、特定された塩類鉱物に合わせて実験溶液をつくり、溶液を含浸させることで風化状況を模擬する試験(塩類風化実験)を行う。複数の実験環境(温度と湿度)により実験を行うことで、析出塩の温度湿度条件を決定する。
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