研究実績の概要 |
バイオマスの水素発酵またはメタン発酵によってバイオ燃料を生産できることが知られ、世界的に注目されている。本研究の目的は、水素発酵とメタン発酵を組合せて発酵液循環による無加水発酵、可溶化促進およびアナッモクス後処理などの新しい工夫により、地域で発生するバイオマスの統合的エネルギー化システムを構築しようとしたものである。具体的には次の研究項目に取り込むこととした:(1)水素・メタン循環二段発酵技術の融合最適化、(2)熱処理による消化残渣可溶化促進の最適化、(3)担体添加型一槽式Anammoxを用いた廃棄物消化液の高度処理、(4)地域バイオマスのエネルギー化センターの効率化およびLCA, LCA手法を用いたシステム評価。最終的には。低環境負荷でバイオエネルギー回収を実現する革新的廃棄物系バイオマスの燃料化システムおよびその評価手法を開発することである。 平成30年度は主に都市ごみを対象とした水素・メタン循環二段発酵技術の融合最適化について実験的検討を行った。具体的には、循環式二相消化プロセスを組み立て、生ごみと廃紙を実験原料として用いて温度、容積負荷と循環率などを変化させて連続実験を行うことで、水素・メタン生成工程の状況変動を把握した。運転条件の最適化より得られた先端発酵システムは水素・メタン生成機能を備え、性状変動範囲が広く多種類の廃棄物に対して安定した水素とメタンのバイオ燃料生成状況が得られた。なお、分子生物学手法を用いてこの先端発酵システムにおける微生物群集構造と生化学反応との相互関係を解明した。本研究により、都市廃棄物の減量化を実現する同時に水素・メタンを連続的に生産できる先端システムを開発し、未来の循環型社会と低炭素/水素社会の構築に大きく寄与できるものである。
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