研究課題/領域番号 |
18F18302
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木山 幸子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10612509)
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研究分担者 |
XIONG KEXIN 東北大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | バイリンガル / 語彙処理 / 日中同根語 / 神経基盤 / メンタルレキシコン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アルファベット表記を用いる言語話者を中心に検討されてきたバイリンガル相互活性化プラス(BIA+)モデルが、漢字圏言語話者の語彙処理にどこまで適用されるかを認知神経科学手法によって検証することである。日本語と中国語における書字が同じ漢字語と書字が類似する漢字語を、実際の視覚処理の軌跡を追う視線計測、認知処理の時間分解能に優れる脳波計測、および空間分解能に優れる磁気共鳴画像法(MRI)等といった複数の生体反応計測を通して比較検討し、漢字圏バイリンガルの語彙処理における書字表象の役割を見出す。さらに、これらの実験手法で得られた成果をまとめ、漢字圏バイリンガルの語彙処理能力と視空間認知処理能力の神経連絡の機序を把握し、漢字使用者一般の生涯にわたる認知機能の発達過程を明らかにし、多言語併用者の言語処理能力を解明する認知神経科学研究の実験パラダイムを確立させることを目指している。 それを踏まえて、2018年度では認知神経科学的実験の準備として、予備調査および予備実験を行った。まず、日本語と中国語の漢字2字熟語の書字的類似性、音韻的類似性、および意味的類似性を、中日バイリンガルに7段階で評価してもらった。また、日本語の漢字語の具象性について日本語母語話者に7段階で評価してもらった。以上の手続きで、実験材料の統制に必要とされる情報がそろった。さらに、これらの情報を用いてMRIの実験の予備実験、および視線計測を用いた漢字2字熟語の処理実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度では、次年度に向けて神経科学的実験の準備を行い、順調に進捗した。具体的には、中日バイリンガルおよび日本語母語話者を対象に、実験材料についての調査を実施した。次に、中日バイリンガルを対象に、予備実験として、5つの行動実験を行い、神経科学的実験のタスクについて検討した。さらに、以上の手続きで得られた情報を用いて、中日バイリンガルを対象に視線計測を用いた漢字2字熟語の処理実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度で収集した各調査および実験結果をまとめ、投稿論文の形で随時公表していきたい。さらに、各調査および実験の結果に基づき、神経科学的実験を行い、得られた成果を発表する。
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