本研究は、グローバル化の主要な側面であるヒト・モノ・カネの移動に対して人々がどのような形で態度形成を行うかをサーベイ実験を用いて 実証的に解明することを目的とした。標準的な新古典派経済学の貿易理論では貿易と生産要素である労働及び資本の移動は代替的関係にあると されてきた。しかし、近年の国際経済学研究ではそれらの補完性に関心が向けられている。しかし、ヒト・モノ・カネの移動は経済的効果のみ ならず人々の態度形成を通して政治的反応を引き起こし、グローバル化のあり方に影響する。本研究は、貿易、海外投資、そして外国人労働者 の受け入れが一般の世論にどのような政治的反応を生じさせるかを国際的なISSP世論調査データを用いて計量的に分析すると共に、経済構造の 成熟化や高齢化に伴いそれらが大きな政治的課題となっている日本と韓国を対象にしたサーベイ実験データを用いて分析を行った。 ISSPデータ及び日韓でのサーベイ実験データの計量分析は主としてYu Jin Wooが担当して、その理論的解釈は久米郁男が担当した。それに基づいて現在投稿中の論文の作成は両者が実質的な共同作成作業により完成させた。また、移民に対する人々の意識を探るサーベイ実験データを用いた研究では、Wooがデータ分析と解釈を主導し、久米がその理論的意味について助言を行い論文の完成を導いた。また、その副産物として、国内外の研究者とWooの新規の研究プロジェクトの助言サポートを久米は行った
|