研究課題/領域番号 |
18F18321
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
兼村 晋哉 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10362609)
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研究分担者 |
DAS ARINDAM 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 加速器物理 / ヒッグス粒子 |
研究実績の概要 |
本研究では、ニュートリノ質量を説明し、同時に暗黒物質やバリオン数生成を説明する物理模型を探究し、候補の模型を現行及び将来実験で検証する研究を行う。レプトジェネシスが可能なシーソー機構や逆シーソー模型、輻射ニュートリノ質量生成機構の模型に現れる右巻ニュートリノを実験で如何に検証するかを研究した。
2019年度は、ゲージ対称性SU(3)C SU(3)L U(1)X をもつ理論において、カイラルフェルミオンの3世代構造の起源、ニュートリノ微小質量そして宇宙の暗黒物質の存在を同時に説明し得る新模型を構築しその現象論的な振る舞いを解析した。3世代構造は、SU(3)C カラーとフレーバーの自由度が量子異常の相殺において関連することから説明される。ニュートリノ微小質量は、レプトン数を破るスカラー場の相互作用を通して1ループレベルで自然に導出される。さらに、電弱対称性の自発的破れの後に残る厳密なZ2 対称性によって、暗黒物質の安定性が保証される。レプトンフレーバーの破れと暗黒物質の実験データを満たすパラメータ領域において、現在のニュートリノ振動データを再現できることを明らかにした。また加速器実験において、複荷電スカラー場の崩壊に特徴的なパターンが現れることを示した。
この研究に加えて、本研究計画に関連する拡張ゲージ理論におけるシーソー機構、コライダー現象論、レプトン数の破れなどに関する新研究を実施し、完了した研究成果を論文として出版するとともに、国際会議等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アリンダム・ダス氏は2019年度は本研究計画に関する様々な研究を行った。特に331模型の拡張によるニュートリノ質量生成機構の構築とその現象論的研究では、受け入れ研究者を含む所属研究室のメンバーと活発に議論を進め、主導的に論文としてまとめた。加えて、本研究計画の一環として、シーソー機構、拡張ゲージ理論におけるニュートリノ質量のシナリオとその加速器での現象の解析、レプトン数の破れに関する新研究など、多数の新研究を実施し、成果が多数の論文として出版された。さらに、多数の国際会議や研究会で成果発表を行うなど、ダス氏に取って極めて生産的な1年であったと思う。
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今後の研究の推進方策 |
計画最終年度である2020年度は、これまで着手してきた研究のうち、未完成のものを完成し、論文としてまとめて出版することを目標に研究を進める。特に、これまで進めてきたU(1)’ゲージ理論に基づくニュートリノ質量モデルを拡張し、暗黒物質を含むより現実的な理論の構築に関する研究を進め、論文としてまとめる。さらにこれらの模型におけるレプトジェネシスの可能性を追求する。
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