研究課題/領域番号 |
18F18334
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 進 京都大学, 高等研究院, 特別教授 (20140303)
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研究分担者 |
YAO MINGSHUI 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | ケミレジスタセンサ / 多孔性配位高分子 / 錯体化学 / 薄膜 / 高伝導性 / ガスセンサ |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が独自に開拓してきたSpray型Layer-by-Layer(LbL)法を活用し、電気伝導性MOF (EC-MOF: Electronically Conductive MOF)の上に更に高いガス吸着選択性を示すMOFを積層させた、多層積層型MOFケミレジスタ型ガスセンサを開発する。これまでのMOF細孔を利用したケミレジスタ型センサは、室温においても高感度が得られる一方で、基質選択性については満足の行くものではなかった。本プロジェクトで開発する多層型センサでは、下層のEC-MOFにガス検出を担わせ、上層のMOF層にはガスの分離選択を担わせることで、高感度かつ高選択性を実現する。 本年度は、前年度に引き続き新規のEC-MOFの開発と、MOF-on-MOF型の複合材料の開発を行い、前年度に開発したケムレジスタ型ガスセンサシステムを用いてその特性評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、EC-MOFの開発と、MOF-on-MOF型の複合材料の開発を行い、前年度に開発したケムレジスタ型ガスセンサシステムを用いてその特性評価を進めた。本課題を遂行するにあたり柱となる研究内容が大きく進展した。 従来、高伝導性が報告されてきた二次元シート構造のEC-MOFの系において、混合配位子型のEC-MOFの初めて合成に成功した。混合配位子型とすることで、この系の物性のより幅広いチューニングが可能となる。前年度に立ち上げたケムレジスタ型ガスセンサシステムを用いて新規EC-MOFが実際にケミレジスタ型ガスセンサとして高い特性を有することを確認した。この成果はAngewandte Chemie International Edition誌(Volume59, Issue1, Pages 172-176, 2020)に掲載された。 また開発したEC-MOFをMOFの上に複合化したMOF-on-MOF材料を複数種開発し、基盤とするMOFの選択により室温でのケムレジスタ特性を大きく改善させることに成功した。現在、機能発現の機構について検討している。 以上から、本年度は目標として掲げる室温動作可能なケミレジスタセンサの実現のために当初の計画以上に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
前年度では開発したEC-MOFをMOFの上に複合化したMOF-on-MOF材料を複数種開発し、基盤とするMOFの選択により室温でのケムレジスタ特性を大きく改善させることに成功した。最終年度となる本年度は、機能発現の機構について詳細に検討することにより将来の有用な材料開発における設計指針についての知見を得ることを目的とする。さらにこれらの結果をまとめ論文投稿する予定である。
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