研究課題/領域番号 |
18F18342
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若宮 淳志 京都大学, 化学研究所, 教授 (60362224)
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研究分担者 |
TRUONG MINH ANH 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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キーワード | 正孔輸送性材料 / 光透過性 / ペロブスカイト太陽電池 / 準平面構造 / トリアリールアミン |
研究実績の概要 |
酸素架橋型トリフェニルアミン骨格に対して、ジリールアミン骨格の導入効果により、光吸収透過性とHOMOエネルギー準位を制御するとともに、ペロブスカイト太陽電池のための正孔輸送性材料の開発に取り組んでいる。 アズレンを核構造に用いた一連の正孔輸送性材料について、導入するアルコキシ基の効果を系統的に検討した。その結果、アルコキシ基の長さが短くなるほど顕著に材料固体状態の熱安定性が向上し、さらに正孔輸送特性も向上することを見出した。また、アズレン周りに導入する酸素架橋型トリフェニルアミン骨格の配向の違いにより、複数のコンフォーメンションを安定な構造としてもつことができ、この特性に依存して、pMAIRS法の測定解析結果をもとに、高いアモルファス膜安定性を発現することを明らかにした。これらの特性に基づいて、ペロブスカイト太陽電池の正孔輸送性材料として用いることで、18~19%の光電変換効率を達成した。これらの成果は、Chem. Eur. J.誌に京大化研およびスイスのグループとの共著論文として掲載され、inside coverにも採択された。 また、酸素架橋型トリフェニルアミン骨格に対して、ジリールアミン骨格の導入位置がHOMOおよびLUMOの広がりに及ぼす効果およびそれに起因した光吸収特性の違いを詳細に検討し、可視光領域に高い光透過性をもつ正孔輸送性材料を開発した。これらを用いたペロブスカイト太陽電池の作製方法を詳細に検討し、15%以上の光電変換効率を達成した。本研究に関して、国内企業とも共同研究を進め、特許申請も行っている。 これらの成果について、6件(国際3件を含む)の学会発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに10種類以上の標的化合物の合成に成功し、これらの基礎特性を明らかにするとともに、これらを用いたペロブスカイト太陽電池の作製法の検討およびその最適化まで、当初の計画を前倒しして進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、さらにHOMO準位を向上させた光透過性の正孔輸送性材料も開発できることが明らかになってきた。今後は、これらの材料の薄膜作製法の検討、さらには塗布後に不溶化して、多層膜を形成できる手法などの開発にも取り組み、非鉛系ペロブスカイト太陽電池へも応用し、その高性能化に取り組んでいく予定である。
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