研究課題
酸素架橋型トリフェニルアミン骨格に対して、ジアリールアミン骨格の導入効果(種類または位置)がHOMOおよびLUMOの広がりに及ぼす効果およびそれに起因した光吸収特性の違いを詳細に検討し、可視光領域に高い光透過性をもつ正孔輸送性材料を開発した。酸素架橋トリフェニルアミン骨格にジアリールアミン、カルバゾール、およびジチエノピロールを導入した化合物のDFT計算をおこなった。その結果、これらの化合物ではHOMOは準平面型の酸素架橋トリフェニルアミン骨格上に広がる一方で、LUMOは導入したジアリールアミン骨格に広がることを見出した。これらの骨格では、HOMOとLUMOの重なりを抑制することで、最長波長吸収の遷移の振動子強度が小さくなり、紫外可視光領域でど吸光係数も減少するとわかった。合成した化合物は固体状態でも420 nm以下の光吸収端を示し、高い可視光透過性をもつことが明らかになった。これらの化合物の蒸着膜に対して、大気下での光電子分光を行い、HOMOエネルギー準位を測定した。その結果、いずれの化合物のHOMOエネルギー準位もペロブスカイト半導体材料の価電子帯より浅く、ペロブスカイト層から正孔の取り出しが可能だとわかった。これらの化合物の薄膜を正孔輸送層に用いたペロブスカイト太陽電池の作製方法と特性評価を詳細に検討した結果、最大で17.2%まで、比較的高い光電変換効率を達成した。得られた成果に基づいて、査読付き学術論文を1件報告した。また、5件(国際2件を含む)の学会発表も行った。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件)
Journal of Materials Chemistry A
巻: 7 ページ: 16947-16953
10.1039/c9ta02142f