研究課題
これまで、以前Geoffrey Avit氏が学生として所属していたフランスクレルモンオーベーニュ大学では、ハロゲン気相成長法を用いてInGaNナノロッドの成長を行ってきたが、pn接合が出来ないため、LED作製が出来なかった。当研究室が持つ有機金属化合物気相成長(MOVPE)法によるナノロッド成長ではLED作製は可能であるが、従来のボトムアップ的手法での作製では、c面のほかに半極性面や無極性面にも成長する。それぞれの面で成長速度やInの取り込まれが変化することから発光波長が複数になり、ディスプレイに必要な単色性で半値幅の狭いナノロッドLEDができないという課題があった。同氏は当研究室のMOVPE装置を用いてc面上にInGaN/GaN多重量子井戸(MQW)を成長後、トップダウン的にエッチングすることにより、アキシャルタイプのナノロッドを作製する方法を用いた。エッチングパターンの作製には、従来の電子線描画に比べて圧倒的に生産性の高いナノインプリントを用いた。トップダウンで作製したMQWは(0001)面のみのため、幅の狭い単一ピークの発光が観察された。さらに興味深いことに、ナノロッド直径を1000 nmから100 nmと細くするにつれてブルーシフトし、例えば加工前の二次元のc面MQWの場合575 nmであったものが、200 nm径のナノロッドでは545 nmと30 nmもの短波長側へのシフトが観測された。この原因は、1.ナノロッド化による歪緩和の影響、あるいは、2.側壁部空乏層の広がりによる空乏化に基づくサイズ効果が考えられる。トップダウンによるナノロッド作製法は、応用上、ナノロッド径制御による簡易な発光波長制御が期待される。そのほか、下地のn-GaN層、上のp-GaN層、p+n+のトンネル接合、AlCを用いたSi基板上へのGaNの成長などを行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Crystal Growth
巻: 535 ページ: 125522/1-5
https://doi.org/10.1016/j.jcrysgro.2020.125522