研究課題/領域番号 |
18F18352
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石原 達己 九州大学, 工学研究院, 教授 (80184555)
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研究分担者 |
TAN HUI LING 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | 光触媒 / Zスキーム / 色素修飾 |
研究実績の概要 |
再生可能エネルギーは希薄で、変動することから、高効率で水素や有用な化合物への蓄エネルギーが必要となっている。本研究では太陽光からの高効率な水素製造または二酸化炭素の資源化を目的に、簡単な手法で物質変換可能な光触媒システムの開発を目的としている。このための可視光から紫外光までの広い範囲の波長の太陽光を励起源として水を完全分解可能な2重励起型の光触媒システム(Zスキーム)の開発を行う。初年度は、1次励起源であるBiVO4を種々の条件での合成を検討したが、調製法で、活性を向上できたものの、十分活性の高い触媒系を見出すまでには至らなかった。2年目はCO2の水素化を目的に、BiVO4系触媒への種々の金属の担持を検討した。Cuの担持で、COの生成を確認できたが、活性は十分高くなかった。色素増感による活性の向上も検討したが、ポルフィリン系では活性を向上できなかった。そこで、BiVO4に代わる無機化合物について広範囲な無機半導体を検討した。その結果、Agを担持したGa2O3では、水の分解によるH2の比較的、高い生成速度を示すことを見出した。一方、CO2のH2Oによる水素化を検討したところ、少量ながらC2H5OHの生成を確認できた。この触媒上ではCOが生成せず、主にH2とC2H5OHが生成できることが示唆された。一方、GaNによるH2Oの分解への修飾効果を検討し、TiO2の修飾がH2,O2の生成速度の向上に有効であることを見出した。TiO2の最適の担持量は1wt%であった。蛍光分光法による電荷の励起過程に検討したところ、TiO2の修飾でGaNの電荷分離が行いやすくなることが示唆された。今後、TiO2担持GaNについて色素の修飾による、さらに高活性化を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とした色素修飾効果を検討するとともに、新たにGa2O3系によるCO2の有用化合物への転換において興味ある成果が得られ始めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きBiVO4系および新たにGa2O3系において、高活性化を検討する。このために、助触媒の担持効果を引き続き検討し、優れた光触媒活性を示す触媒系を見出す。昨年度、予備的に検討したGaN系触媒で表面へのTiO2の修飾が、活性の向上に有効であることを見出したので、本年度は、この系への色素の添加効果を検討するとともに、活性の向上する機構を、蛍光分光法と紫外-可視分光法を用いて、バンドギャップと励起効率について検討する。さらにZ型励起で、CO2をH2Oを用いて、有用な化合物へ変化することのできる触媒系を検討する。とくにGa2O3系触媒については照射する光源の光量と活性との関係を詳細に検討する。C-C結合を形成可能な触媒系の検討を行う。
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