研究課題
本研究では、競合する熱電物性の制御原理を新規に発展させて、広範囲実用化に初めて資する高性能な熱電材料を開発する。本年度の顕著な成果として、GeTe系において、磁性イオンドーピングによる電子状態・散乱機構の制御によるパワーファクターの増強の実現を目指す研究において、磁性Crドーピングによって、顕著な高性能化が得られた。GeTe系は高性能熱電材料として世界中で研究競争が特に激しい系であるが、本特別研究員の斬新な研究で、この系で、初めて遷移金属のドーピングという物性制御が極めて有効であることを示した。本年度は、Crドーピングにより、当初予想されなかったセレンディピティ的な発見として、CrドーピングによりGe欠陥の生成エネルギーが低減できることを発見した。また、同時にCrドーピングにより析出物生成の制御にも寄与できることが明らかになった。Crドーピングの結果として、欠陥生成および析出物生成によりGeTe系の大幅な熱伝導率の低減が得られたと同時に、電気的なキャリアも制御され、さらにBiなどとの複ドーピングの効果により、バンド構造の変調に制御し、極めて高い性能指数ZT~2という高性能化に成功した。本成果は、国際会議などで発表を行い、論文としてまとめられ、著名なSmall誌に出版された。また、当該特別研究員は、本優れた研究により、国際熱電学会International Thermoelectric Society (ITS)が年間で世界中の最優秀なポスドク研究員1名だけに表彰する2019 ITS Postdoctoral Scholar in Thermoelectrics Awardを受賞した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Small
巻: 10 ページ: 1906921-1-7
10.1002/smll.201906921
Materials Today Physics
巻: 9 ページ: 100094-1 -7
10.1016/j.mtphys.2019.100094