研究課題
本研究の目的は、化学発光イムノアッセイにおける検出手段として一般的な酵素標識法に代わる新たな手段として、キノンをシグナル発生タグとして用いる非酵素的超高感度化学発光法を開発し、化学発光イムノアッセイへ応用することにある。今年度は、キノンをシグナル発生タグとして用いる化学発光イムノアッセイに特化した化学発光試薬として発光部位と還元部位とをあわせ持つ ABEI-LA を開発した。ABEI-LA はルミノール誘導体である N-(4-aminobutyl)-N-ethylisoluminol (ABEI) と還元剤 α-リポ酸(α-lipoic acid, α-LA) とを直接結合させることで合成した。ABEI-LA溶液とユビキノンやドキソルビソンといったキノンの溶液とを混合したところ、長時間持続する強い発光が観察された。このことから ABEI-LA のリポ酸部位によりキノンの酸化還元サイクルが誘起され、それに伴って発生したスーパーオキシドアニオンラジカルがルミノール部位と反応することで発光が生じたと考えられた。ABEI-LA の発光は、ABEI と α-リポ酸を別々に添加した場合に得られる発光と比較して高い値を示した。この理由として、化学発光部位と還元部位との近接による化学発光反応の効率化が考えられた。本研究で開発した新規化学発光試薬 ABEI-LA はキノンをシグナル発生タグとして用いる非酵素的化学発光イムノアッセイのさらなる高感度化に有用であると期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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