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2019 年度 実績報告書

三次元培養肺癌細胞を用いたEMT誘導メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18F18414
研究機関横浜市立大学

研究代表者

梁 明秀  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (20363814)

研究分担者 SHIN JIHYE  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2018-10-12 – 2021-03-31
キーワードproteome / mass spectrometry / BONCAT / secretome / EMT / 3D-culture / TGF-b
研究実績の概要

本研究ではAHA修飾新規合成タンパク質を簡便かつ網羅的に解析できる技術を開発し、3D培養肺癌細胞でTGF-β 誘導性EMTに関連して発現変動する分子を探索し、微小環境下でのEMT誘導メカニズムの解明を目指している。そのために、今年度は以下の研究を実施した。
1.動物細胞の培養に用いられるウシ胎児血清(FBS)由来のタンパク質とヒト細胞タンパク質には共通アミノ酸配列があり、これが細胞培養上清プロテオーム解析におけるヒトタンパク質同定を複雑にする。そこでヒトタンパク質同定の偽陽性と偽陰性を減らし、信頼性の高い結果を得るためのデータベースを考案し、論文発表した。
2.昨年度に開発したBONCAT/in-stage tip法をさらに改良し、新たにBONCAT/click-beads法を開発した。これにより、新規合成タンパク質の濃縮効率が改善し、AHA修飾ペプチド同定数が大幅に増加した。その結果、新規合成タンパク質の網羅的な解析が可能となった。
3.プロテオーム解析により2Dおよび3D培養肺癌細胞タンパク質を2,459種類同定したが、2Dに比べて3D培養で発現量が2倍以上(p<0.05)増加したタンパク質は100種類あり、cellular movementやcell-cell signaling関連分子が多く含まれていた。また2Dに比べて3D培養細胞では、より多くのタンパク質がTGF-β処理により発現変動することがわかった。同様にリン酸化プロテオーム解析を実施し、同定した3,358リン酸化ペプチド中、573リン酸化ペプチド(382種類のタンパク質に由来) がTGF-β処理した2D に比べて3D培養細胞でより発現変動していることが明らかになった。その中にはcell adhesionやlocalization関連分子が多く含まれていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新たに開発したBONCAT/click-beads法を用いることで、新規合成タンパク質の濃縮効率が改善し、AHA修飾ペプチド同定数が大幅に増加した。その結果、新規合成タンパク質の網羅的な解析が可能となった。

今後の研究の推進方策

BONCAT/click-beads法を用いて2Dおよび3D培養肺癌細胞でTGF-β誘導時間ごとに発現誘導されるEMT関連分子を網羅的に解析し、3D培養細胞におけるEMT誘導メカニズムの解明するために、今後は以下の研究を実施する。
1.BONCAT/click-beads法により、3, 6, 12, 24, 48時間のTGF-β刺激により発現誘導される、2Dと3D培養肺癌細胞内および培養上清中の新規合成タンパク質を網羅的に同定すると共に、比較定量解析を実施する。これにより、TGF-β刺激時間ごとに3D培養肺癌細胞に特徴的なEMT関連新規合成タンパク質および分泌タンパク質を探索する。
2.これまで実施した2Dと3D培養肺癌細胞の細胞内プロテオーム解析、リン酸化プロテオーム解析、新規合成タンパク質解析、分泌プロテオーム解析の結果をバイオインフォマティクスの技術を活用して統合的に解析し、3D培養肺癌細胞でTGF-β 誘導性EMTに関連して発現変動する分子を探索する。また公共データベースのRNA-seqデータとの比較統合解析も行い、3D培養システムによる微小環境下でのEMT誘導メカニズムの解明を目指す。
3.これまでの結果をまとめて国際学術誌に論文を投稿する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Common Repository of FBS Proteins (cRFP) To Be Added to a Search Database for Mass Spectrometric Analysis of Cell Secretome2019

    • 著者名/発表者名
      Jihye Shin*, Yumi Kwon*, Seonjeong Lee*, Seungjin Na*, Eun Young Hong, Shinyeong Ju, Hyun-Gyo Jung, Prashant Kaushal, Sungho Shin, Ji Hyun Back, Seon Young Choi, Eun Hee Kim, Su Jin Lee, Yae Eun Park, Hee-Sung Ahn, Younghee Ahn, Mohammad Humayun Kabir, Seong-Jun Park, Won Suk Yang, et.al.
    • 雑誌名

      Journal of Proteome Research

      巻: 18(10) ページ: 3800-3806

    • DOI

      10.1021/acs.jproteome.9b00475

    • 査読あり
  • [学会発表] Analysis of secretome in serum-containing medium by BONCAT2019

    • 著者名/発表者名
      Jihy Shin, Yayoi Kimura, Hisashi Hirano, Cheolju Lee and Akihide Ryo
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会2019年大会 第70回日本電気泳動学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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