研究課題
本研究ではAHA標識新規合成タンパク質を簡便かつ網羅的に解析できる技術を開発し、3D培養肺癌細胞でTGFβ誘導性EMTに関連して発現変動するタンパク質を探索し、微小環境下でのEMT誘導メカニズムの解明を目指している。そのために、今年度は以下の研究を実施した。1.これまで開発したBONCAT/in-stage tip及びBONCAT/click-beads法の問題点であった、AHA標識ペプチドの濃縮効率を改善する目的で、AHAを捕捉するための新たな化合物を合成した。新規化合物を用いることで、以前の方法よりも非特異的結合ペプチド量が大幅に減少し、AHA標識ペプチドの濃縮効率が改善した。その結果、AHA修飾ペプチドの同定数が増え、少量の試料からAHA標識新規合成タンパク質を網羅的に解析することが可能となった。また本研究において開発したAHA修飾ペプチドを濃縮するための化合物について、企業と共同で特許を出願した。さらに、これらの結果をまとめて国際学術誌に論文を投稿する準備を進めている。2. 2Dと3D培養肺癌細胞をTGFβにて刺激した場合の細胞内プロテオームとリン酸化プロテオームを解析し、2倍以上発現変動(p<0.05)するタンパク質を抽出した。その結果に基づき、パスウェイ解析ソフトウェアIPAを用いて、関連する上流因子や下流の生化学的機能を予測した。上流因子については、TGFβを含めて大きな違いは検出されなかったが、下流の生化学的機能については、細胞の運動性の高まりや細胞死が抑制され生存力が向上する傾向などが、2Dよりも3D培養細胞において確認された。今後は、これまでの結果の検証を行うと共に、TGFβ刺激後の新規合成プロテオーム解析などを行い、統合的な解析を実施する予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell Death & Disease
巻: 12(4) ページ: 374
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Experimental & Molecular Medicine
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