研究実績の概要 |
本研究は、T.ベネディクト氏との共同研究である。同氏の博士論文の延長線上に、現代日本におけるホスピスを中心とした「スピリチュアルケア」の調査を行う計画を立てていた。ところが同氏は、関西学院大学に准教授として採用されることが決定し、2019年3月をもって、外国人特別研究員としての共同研究は中止せざるを得ないことになった。したがって、共同研究は半年間で終了することとなったが、共同研究の中で、貴重な成果を得た。 以下、ベネディクト氏が執筆した研究論文である。一、「迷惑を掛けたくないホスピス患者とスピリチュアルケア」。「日本スピリチュアルケア学会」において発表され、その後、エスノグラフィーの手法による資料によって補強されたのちに投稿され、受理された。二、「エスノグラフィーの視点から見たスピリチュアルケア」。今年度出版される予定の本に収録されるものである。三、英文の論文“The Merit of the Bath: Charity in Early Medieval Japan.”ハワイ大学から出版予定の書籍の分担執筆。近代日本の仏教者たちの社会福祉への貢献を論じ、なぜ日本の仏教者たちがホスピスに貢献し、その貢献の度合いが顕著であるのか、検証した。四、“Death in Modern Japan: 1800-Present.” A Global History of Death (Routledge, 2020) ed. Peter Stearns.の分担執筆。仏教がいかに「死、埋葬」に貢献してきたか、供養の儀礼などを通して家族の絆に貢献したか。近代日本の問題を、「死・看取り・埋葬」の視点からに発信した貴重な試みである。以上の成果のいくつかの点について、受け入れ教員(西平)との議論が反映されている。貴重な共同研究の機会であった。
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