研究課題/領域番号 |
18F18757
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
稲垣 毅 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10507825)
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研究分担者 |
BOLZANI SILVIA 群馬大学, 生体調節研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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キーワード | エピゲノム / 脂肪細胞 / エピゲノム編集 |
研究実績の概要 |
本研究では、人工的にヒストン修飾を書き換えることで脂肪細胞分化を制御することを目指し、そのための手法としてCRISPR-dCas9システムを基盤とするSunTag法を利用し、ヒストンメチル化酵素のリクルートメントに挑戦することとした。ヒストンのメチル化修飾は化学的に安定性の高いエピゲノム修飾であり、細胞分化に関与することが知られているが、申請者らのグループは白色脂肪細胞分化の制御遺伝子の発現が、ヒストン修飾によって制御されることを見出して報告した。そのため、SunTag法を用いて脂肪細胞分化制御遺伝子の領域に複数のヒストン修飾酵素をリクルートすることで人工的に脂肪細胞分化を調節できる可能性を考え、はじめにSunTag法に用いる発現ベクター作製に取り掛かった。SunTag法においては、(1)guide RNA(gRNA)発現プラスミド、(2)不活性化Cas9 (dCas9)とGCN4の発現プラスミド、(3)ヒストン修飾酵素およびGCN4認識抗体の発現プラスミドの3種が必要である。本年度は、(1)guide RNA(gRNA)発現プラスミドと(2)不活性化Cas9 (dCas9)とGCN4の発現プラスミドを作製に取り掛かることとして、Benchlingソフトウェアを使用して脂肪細胞分化制御遺伝子領域に対するgRNAを設計した。続いて、プラスミド作製を開始し、gRNA発現プラスミドと不活性化Cas9 (dCas9)とGCN4の発現プラスミドの作製に成功した。さらに、gRNAのリクルートメント機能の検証をおこなうため、Cas9遺伝子配列を含むレトロウィルス調整用プラスミドを作製し、PlatE細胞に遺伝子導入して得られたレトロウィルスを3T3-L1細胞に感染させ、Cas9強制発現細胞株を構築した。Cas9強制発現細胞株にgRNA発現ベクターを導入したのちにゲノムDNAを精製し、T7エンドヌクレアーゼ法を実施してgRNAの効率を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に実施を予定していたgRNAの設計、プラスミド作製、Cas9強制発現細胞株を用いたT7エンドヌクレアーゼ法の一通りの実施に至ったことから、おおむね順調に進展していると評価した。しかしながら、外国人特別研究員の健康上の問題で母国への一時帰国が必要となったため、当初の計画以上に進展することはかなわなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に続き、SunTag法に使用するプラスミド作製を実施する。作製した三種のプラスミドをPlatE細胞に遺伝子導入してレトロウィルスを作製し、3T3-L1細胞への感染と各段階での抗生物質スクリーニングを繰り返して実施し、すべての要素が発現した安定細胞株を得ることを目指す。
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