ゾル-ゲル化学で合成できる材料は多岐にわたるが、本研究では特にメソポーラス(中程度の空孔を有する)有機-無機ハイブリッド材料に様々な官能基を組み込むことで新しい機能を見出すことを目的とした。具体的な取り組みとして、異なった置換基、反応条件の違いによる材料の構造やモホロジーの違い、さらに材料の吸着能特性に注目した。 まず、2つの異なった置換基または鎖長を有するシルセスキオキサンにテトラエトキシシラン(TEOS)を混合し、ゾル-ゲル条件で縮合させた。ヘキサデシルアンモニウムブロミド(CTAB)を空孔生成物質として共存させ、塩基性条件で反応を行った。これにより、多層構造を有するメソポーラスハイブリッドナノ粒子が得られる。酸性条件下での合成では空孔形状が揃わなかった。更に空孔形状を向上させるため、メシチレンとKClを用いた。テンプレートを除くために塩酸の1%アルコール溶液を用いて洗浄した。 材料の構造とモホロジーに影響する要因を調べるため、以下の点について調査を行った。(1)原料を加える順序(2)界面活性剤を抽出する方法(3)シラノール前駆体の量(TEOS)(4)置換基の種類(5)シルセスキオキサン前駆体の濃度(6)官能基の数と有機部位の鎖長 得られた材料については、以下の分析機器を用い構造とモホロジーを決定した。SEM、TEM/TEM-EDX、固体NMR(29Si、13C、1H)、窒素吸着分析と空孔分布(BET、PSD)、FT-IR、小角X線回折(SAXS)、熱分析(DTA/TG-MS)、X線蛍光分析(XPS)。これらの測定により、以下の結果が得られた。(1)合成したすべての材料は均一なメソポーラス構造を有する2官能性の有機-無機ハイブリッド材料であった。(2)1から5の条件により、テクスチャ特性、マイクロ孔サイズ、CO2吸着において変化が見られた。
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